投稿者 笹崎辰裕
この前の日曜日が祖母の3回忌だった。
仕事だったので法事にはつきあえず、昼食の時に実家に帰り仏壇の前で手を合わせた。
私はばあチャンっ子だったらしい。
まだ首の据わらない私をおぶり、鶏小屋の入り口に頭をぶつけたりしていたらしい。それがなければもう少し賢く慣れたかもしれないのに。
そのにわとり(?)8年後に卵を産まなくなったというので、祖母がさばいた。
「あ!腹に卵があったんや~!」
さすがにその夜の鶏肉料理は一口も食べれなかった。大正ジェネレーション恐るべし。
そういえば母が休日に料理をした後に、その味を祖母色に染めていた。部屋の隅で悔しくてしくしく泣いていた母の姿が懐かしい。新聞の料理の欄を切り取ってよく作っていたが、キュウイの代わりはきゅうりでOKと最後まで信じていた。
・・・・・・おかしい。ちっともいい話が出てこない。
そんな祖母だが亡くなる一月ほど前に父を呼んで言ったらしい。
「テレビの朝やってるドラマのような幸せな人生だった。ありがとう」
この前着た衣装の下に着た白襦袢。あれは祖母の物だった。
笑っていたか、よろこんでいたか。きっとどこかで見ていたに違いない。