私が、工務店という商売を初めて経験したのは高校生の時でした。父が経営する三井工務店で、新築の完成見学会の手伝いをしました。家業ということもあり、ごく自然の流れです。その後、建築関係の専門学校に進学したのですが、とにかく住まいの図面を書くのが面白く、住まいの図面を書きたい一心で設計事務所に勤めました。好きこそものの上手なれと言いますが、その甲斐あって「一級建築士」の資格を取りました。私は、工務店は「人間関係づくり」だと思っています。お客様は初対面の時、大変緊張されています。また、不安もお持ちです。「この工務店(人)に、私たちが一生涯暮らす住まいを任せてもいいのだろうか?」と。
私は、お客様と徐々に打ち解けて、仲良くなっていく、その過程を大切にしています。というのも、良い住まいをつくるには、お客様とも、大工さんなどの職人さん、業者さんとも仲良くしなければいけないからです。住まいは、「お客様」×「工務店」×「職人さん」の共同作業です。ですから私は、笑顔でおつきあいできるように最大の努力をしています。法隆寺の宮大工・西岡常一さんが「木を組むには人の心を組め」と言いましたが、まさにその通りです。人間は見た目ではないと言いますが、住まいは見た目も大切です。もちろん見えないところも大切です。お客様が一生お住まいになるものですから、見た目はかっこよく、目に見えない構造、性能はしっかりとつくるべきです。どちらが欠けても、快適に暮らせる家はつくれないと思っています。
私が考える理想の住まいは、家族それぞれが好きなことができる住まいです。リビングに集まって団らんするも良いですし、それぞれが好きなことをしてもよし。住まいの中のどこにいても、安心して時間を共有できたら良いと思います。月並みな言葉ですが、帰ってきたら「ホッ」する家です。住まいは絶えず野晒しです。ですから、定期的に手入れをしてやらなければ傷んでしまいます。私たちは、定期的にお客様のお宅を訪問させていただき、お客様にお会いすると同時に、「お住まいで傷んでいるところはありませんか?」と声をかけてきます。住まいは一生で一番高い買い物ですから、お客様の工務店に対する期待は大変大きいです。ですからお客様は、完成したお住まいをご覧になったとき感無量になるのだと思います。お客様と共に感動できる住まいづくりを行いたいです!そして、何より完成した後の毎日が素敵になるように、完成後のお客様の生活をデザインする気持ちでお住まいを作ります。そのためには、100%満足していただける住まいをつくるしかありません。「新しい住まいを建てる度に、人の輪が広がっていく!」私たちはそんな思いで住まいづくりをしています。